TIPS
酸性縮毛矯正と髪質改善の境界線 似て非なるメカニズムの比較
サロンワークの現場で「酸性縮毛矯正=髪質改善?」と誤解されることが増えています。
どちらもツヤ・柔らかさ・まとまりが出るため一見似ていますが、目的も作用点も全く違う技術です。ここを理解するとカウンセリング精度も仕上がり満足度も飛躍的に上がります。
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- そもそもの“目的”の違い
施術 目的
酸性縮毛矯正 くせの形状を変えて“まっすぐ”にする
髪質改善(トリートメント/ケア) くせは変えない。内部補修と表面コートで“扱いやすく見せる”
縮毛矯正は変形技術(クセ取り)、髪質改善は補修技術(ケア)です。
つまり、縮毛矯正はスタイルをつくり、髪質改善はスタイルを支える土台をつくるもの。
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- メカニズムの違い
🔹酸性縮毛矯正の働き
• 作用するのはシステイン結合(S–S / ジスルフィド結合)
• 一度結合を切る → 新しい形で再結合させる → クセを固定
• 髪が濡れても元のクセには戻らない(形状記憶を上書きする技術)
• 低pH領域で反応させるため従来よりダメージリスクを軽減できる
🔹髪質改善の働き
• 作用点は水素結合・CMC補修・表面被膜
• くせは切らない、変えない
• 保湿や補修成分で髪の密度と滑りを上げる
• まとまりは出るが、湿度やシャンプー後には持続力が左右される(改善はするが変形しない=戻る要素あり)
→ 縮毛矯正は“結合の再構築” / 髪質改善は“補修とバリア形成”
これが2つの明確な境界です。
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- 酸性縮毛矯正が“髪質改善っぽく見える理由”
• キューティクルが整い、ツヤ反射が高まる
• 低pHだから手触りが柔らかく感じる
• パサつきより“しなやかさ”が出るため補修して見える
しかしこれは髪が良くなったのではなく、結合を組み直した副産物でツヤが出ている状態です。
ここをユーザーに正しく伝えられると信頼度が変わります。
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- 使い分けと提案のコツ
✅ 酸性縮毛矯正を選ぶべき方
• うねり・くせでスタイルが作れない
• アイロン必須/汗や湿度ですぐ戻る
• “まっすぐなベース”が欲しい
✅ 髪質改善を選ぶべき方
• くせは活かしたいが広がりを抑えたい
• ダメージでまとまらない/乾燥が強い
• スタイルは変えずに素材を良くしたい
💡同時提案の黄金バランス
「縮毛矯正でクセの設計を変える → 髪質改善で質感を強化」
これが本当の相乗効果を生む髪質改善デザインです。どちらかだけでは完成しません。
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- サロンとしておさえておくべき技術的メリット
酸性ストレート 髪質改善
クセ固定の持続力が高い ケアの継続で美髪が長持ち
ダメージリスク低減 施術の幅(カラー・パーマ)を邪魔しない
柔らかさとツヤが出やすい 手入れ時間の短縮に繋がる
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6.まとめ ― “境界”を超えたサロン提案とは?
• 酸性縮毛矯正は“クセ”の改善
• 髪質改善は“質感・素材”の改善
• 似ているのは“仕上がりの見た目”、違うのは“髪への作用点”
• 真の髪質改善は「スタイル設計(ストレート)× 継続ケア(補修)」にある
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【監修クリニック・アクセス情報】
LOTTA CUCCI – ロッタクッチ (美容院)
髪質改善・ヘアカラーに特化した技術を提供し、豊富な施術経験をもつスタイリストが在籍するサロン。
最新の薬剤選定と髪質診断を基に、お客様一人ひとりの髪の状態を見極めた施術を行っています。
住所:東京都渋谷区神宮前3-18-15 テラスサイドビル1階
TEL:090 1048 6699
営業時間:10:00~18:30
定休日:年中無休
アクセス:
・表参道駅 徒歩6分
・明治神宮前駅 徒歩5分
・表参道ヒルズ 徒歩5分
落ち着いた空間でマンツーマンの施術を中心に行い、髪の悩みを丁寧にカウンセリング。
初めての方でも安心して相談できる“信頼性の高いサロン”として定評があります。
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【記事監修】井上将之(LOTTA CUCCI – ロッタクッチ)
ヘアカラー・髪質改善技術を専門とし、これまで多くのお客様の髪の悩み改善に携わってきたスタイリスト。
髪のダメージ理論、薬剤知識、毛髪診断に基づく「根拠ある施術」を重視し、個々の髪質に合わせた最適な提案を行う。
美容現場で培った豊富な経験をもとに、
科学的根拠(Evidence) × 実務経験(Experience) × 専門性(Expertise)
を軸とした信頼性の高い情報を発信しています。